Mar
2022
02

秋から住み始めた古民家のこと

たぶん、2018年の8月に江戸東京たてもの園で前田國男邸を見てしまったのがきっかけだったように思う。1942年に建てられた、日本を代表するモダニズム建築家の自邸。それまで「和モダン」と言われるような建築をあまり好ましく思っていなかったのだけど、その家はまさに和モダンの正解で、完成形のように見えた。今なお上手く表現できないが、なんというか、日の明るさと窓や鴨居といった色々なものの高さと装飾のシンプルさが凄く良かった。度量が広そうな家だなと思った。

古民家に住んでみたい。しかし購入に踏み切るほどの勇気はなかった。2年程探したと思う。去年の夏、都内に築60年の庭付き平屋の賃貸物件を見つけた。

広い庭は草茫々。建物は瓦屋根。外壁はどこかのタイミングでリフォームしたのか、何かパネルのようなものが貼られている。

庭が南を向いているおかげで、日中、家全体が凄く明るい。窓はほぼすべてアルミサッシのものに取り替えられており、建て付け良好。障子やふすまも概ね良好。風呂場もバランス釜だった頃の面影が残っているが、取り替えられており、比較的綺麗。

立地や家賃の条件も悪くなかった。特に家賃は古民家ボーナスがついていなかった(単に古い家として、周辺地域の相場相当より少し安いくらいだった)。不安要素として家全体の汚れ、床の傾きや軋み、エアコンの古さ等もあったけれど、間違いなく掘り出し物だった。

かくして2021年の9月に契約・引越して、約半年が経った。結果、この家を選んで大正解だったと思う。ちょっとお茶目でポンコツなところもあるけど、今のところは工夫しながら付き合っていける範囲だし、色々こちらの心を動かしてくれる、度量が大きくて本当に良い家だと思う。

「何がどう素晴らしいの?」って話は、また次の機会に!

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